卒業論文アーカイブ

集落営農法人継続の要因―遊佐町の農事組合法人K生産組合を事例にして―

  • 年度
  • 平成26年度
  • 氏名
  • 三宅 寛亮
  • 指導教員
  • 藤科
  • キーワード
  • 農業法人
  • 概要
  • 現在の日本農業は、農業を支える若い世代の働き手の減少や高齢化・農業純生産等の問題を抱え、今後もより一層進んでいくと思われる。これらの問題を解決する方法の一つに集落営農の法人化が挙げられる。しかし、集落営農組織の法人化には課題も多いため、それらを解消し経営的に安定していくことが求められる。そこで、本研究では1964年より経営を継続している山形県遊佐町の「農事組合法人K生産組合」を対象に、経営分析・経営評価を行うことで、法人の意義を追求し経営を続けてこられた要因を明らかにするとともに、現在考えられるK生産組合の課題を考察する。K生産組合が町を代表する集落営農法人へと発展を遂げた要因は3つある。それは①合意形成によるインセンティブの働きや土地の面的集積による「種子生産」、②農業技術誌の購読や組合員同士の日常的なコミュニケーションによる「組合員それぞれの技術力の高さやコミュニケーションの充実」、③組織の財務の安全性や個人の所得の高さから言える「経営の安定性」である。しかしながら、K生産組合が今後の経営を今まで通り円滑に行うために世代継承の課題も残されている。オペレーターの高齢化が進んでおり、全員(5名)の世代継承は見込めない。経営を存続させる中でいずれは継承が必要になる時期は必ずやって来る。そのためにも、内部の継承が難しいようであれば外部から人を呼び込むことが必要になる。聞き取り調査でK生産組合の理事I・G氏が考えていたように、地域を守っていきたいという思いは集落内の住民皆が持っているはずである。今後の地域のあり方として、集落内から意識の変革を始め、それが集落の外へと広がっていき、最終的には町全体で農業を支えていくことが可能になるのではないだろうか。そうすることで、後継者を確保できる可能性は非常に高くなるはずである。

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