卒業論文アーカイブ

農村女性の活躍の場としての農産物直売所の役割―山形県鶴岡市の「産直あぐり」を事例として―

  • 年度
  • 平成28年度
  • 氏名
  • 阿部 百合恵
  • 指導教員
  • 藤科
  • キーワード
  • 農村女性起業
  • 概要
  • 現在、日本の基幹的農業従事者数の約半数は女性であり、農業の担い手として重要な役割を果た している。女性農業者が農業経営を支え、発展にも貢献している中、農産物直売所は女性が出荷作 業を担う場合が多いことや農産物を使用した加工品を売ることができることから、農村女性が活躍 する場として見ることができる。本論文では、山形県鶴岡市櫛引地区にある産直あぐりを対象とし て、農産物直売所で働く女性従業員や、出荷に取り組む女性農業者、農産物加工に取り組む女性農 業者の活躍を調査し、農産物直売所が農村女性の活躍において果たしている役割を明らかにするこ とを目的とした。従業員22 名中19 名が女性であることから、女性従業員を対象としたアンケート 調査を行った結果、20 代~60 代の幅広い年代かつ櫛引地区に限らず鶴岡市内に居住する女性が働 いており、68.8%が充実感を感じて働いていることが明らかになった。残りの31.2%は、「どちらと も言えない」を回答しており、マイナスの回答はなかった。具体的には、自分自身で働いて給料を 得られることや地域や農業の発展に貢献できることで充実感を得ていた。出荷に取り組む女性農業 者を対象としたアンケート調査では、直売を始めたことがきっかけで農業経営に対する意識が向上 していることが明らかになった。さらに、農業経営に関わるようになったことによって女性自身で 取り組んでみたいことを考えるようになり、自分を表現できるといった声も聞かれた。産直あぐり に併設されている加工所の利用者を対象とした聞き取り調査では、加工所を利用することによって 初期投資や手続き等が不要で加工に取り組むことができ、経営の多角化により、女性の活躍の方向 が広がったことが明らかになった。以上から、農産物直売所は、女性の働く場としての役割と、女 性農業者の農業経営へ関わる機会を与える場としての役割があり、その役割を大いに果たしていた。

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