卒業論文アーカイブ

農商工連携が農業者の経営・意識へ与える影響―企業組合かほくイタリア野菜研究会を事例として―

  • 年度
  • 平成26年度
  • 氏名
  • 瀬野 智予
  • 指導教員
  • 小沢
  • キーワード
  • 地域ブランド
  • 概要
  • 中小企業者と農林漁業者との間で連携関係を作る農商工連携という取り組みがあるが、農業者は商工業者よりも連携による波及効果や所得形成効果を受けにくい現状があるとされている。本研究では、企業組合かほくイタリア野菜研究会を調査対象とし、連携において各主体がWIN-WINの関係を構築できるポイント(8箇条)の検証と連携による農業者への影響を明らかにすることを目的とし、農業者に調査を実施した。8箇条について検証した結果、農業者間の連携では、誰でも意見を出しやすい環境づくりといった課題はあるものの、8箇条のポイントはほぼ押さえられていた。一方で、農業者と商工業者間での連携の場合、商工業者の参加できる研究会活動や他メンバーと個人的に交流する機会も少ないことから、農業者側に情報が偏っていることが予想される。そのため、農業者と商工業者の間で情報共有の場を増やす等、商工業者側のバックアップにも力を入れていく必要がある。次に、研究会所属による農業者への影響とその要因を整理した。農業経営面については、研究会所属により農業者同士の情報や知識の交換、共有の増加が収量や品質の向上、収入の増加に結びついていた。加えて、商工会等の異業種と連携することで産地のブランド化が進められ、高単価での取引や販路の拡大にもつながっている。しかし、事務局が販売業務や事務作業を代行することによって出荷に伴う微調整が増加、出荷頻度が多くなり出荷日も不定期になりやすいといった、時間のコントロールのしにくい現状が生まれていた。生産意識面については、マルシェやイベント等、農業者が販売に立ち会える機会が増加し、消費者や実需者と交流できる機会が多くなっていた。特に、自分の栽培した農作物を一流のシェフ達から直接評価してもらうことで自信がつき、より品質の高い農作物栽培を目指すといった形で生産意欲の向上が見られた。

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