卒業論文アーカイブ

行動経済学の概念を用いた大学生の購買行動調査

  • 年度
  • 平成26年度
  • 氏名
  • 山口 純実
  • 指導教員
  • 小沢
  • キーワード
  • 消費者行動
  • 概要
  • 人の行動が時には非合理的であることに注目して、その要因を明らかにしようとしているのが行動経済学である。本研究では、アンカリング効果、フレーミング効果、選好の逆転という3つの概念に注目し、社会人の前段階という特異的な社会的地位にある大学生を対象とした購買行動調査を山形大学生活協同組合農学部店にて実施した。まず、商品購入がその時にもたらされている情報に左右されるというアンカリング効果に関する会場実験では、商品値引き時の価格表示が購入におよぼす影響を検証した。その結果、一目見て割引額がわかる価格表示方法がアンカリング効果の影響度が高かった。会場実験とアンケート調査を連動させた結果では、価格表示を認識している人は友人やメディアなど多くの情報を考慮して買い物をすること、価格表示に強く影響を受けた人は普段から商品の価格を意識して買い物をすることが明らかとなった。次に、農学部店で実施されていたおにぎり100円均一セール期間中のPOSデータからフレーミング効果について検証した。売価は同じでも価格を示す表現の違いによって受け取り方が異なるのがフレーミング効果である。分析の結果、定価が100円に近い商品がセール前と比較し売上が増大しており、価格均一表示によるフレーミング効果がはたらいていたと言える。最後に、農学部店で販売されている日替わり弁当のPOSデータから選好の逆転について検証した。同一商品でも日によって売り上げ順位が逆転していれば選好の逆転が生じていると言える。分析の結果、4月中は商品の組合せが2日連続で同じだったことによる選好の逆転が生じていた。5月以降は商品の組合せが多様化し同一商品が販売されるまでの期間が長かったが、選好の逆転が生じていた。以上より、大学生の購買行動を調査した結果、標準的な経済学では想定することができない購買行動が観察できた。

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