卒業論文アーカイブ

糞数調査手法を利用したカラス被害環境条件に関する研究

  • 年度
  • 平成27年度
  • 氏名
  • 高田 伯約
  • 指導教員
  • 家串
  • キーワード
  • 環境問題
  • 概要
  • 近年、中山間地域の衰弱による農地の荒廃や開発の進行による環境変化に伴う影響でシカやカラスなどの大型鳥獣類を中心とした鳥獣被害が全国規模で発生し、平野部での被害も拡大傾向にある。特にカラスは市街地の環境に適応し、糞害や騒音害などの生活環境被害が大きな問題となっている。カラス被害の対策は全国的に行われているが、対策結果を認識するための正確な把握手法は確立されておらず、被害状況は曖昧な生息個体数調査から推測するという形となっている。本論では①シカやイノシシなどの大型野生獣類の生息個体数調査に用いられている糞数をカウントする調査手法を利用し、カラスによる糞被害状況の把握調査としても糞数調査手法が有効であると示す事と、②環境条件別に被害状況を糞数という数値データを利用することで把握・比較し、環境条件別の被害程度の差を明確に認識することの2つを研究目的とした。調査地として選択した鶴岡公園周辺市街地を「塒との距離」「建造物との距離」「電灯との距離」という3種類の環境条件で分類し、計8箇所の電線下の路上で糞数調査を行った。調査地点別に糞被害量の比較を行った結果、今回の調査では最大100倍以上の糞被害量の差が存在した。また、それぞれの環境条件には被害の集まりやすさに違いがあり、それも環境条件別で糞被害量を比較することで確認することが出来た。今回の調査結果からカラスによる糞被害量は同一地域であっても地点ごとに糞被害量が異なり、その違いは様々な環境条件の影響によって生まれている事が分かった。被害の偏りに影響する環境条件は今回挙げた3種類以外にも存在している。今後、環境条件別にそれぞれの影響力の違いや地域差等を認識し、被害状況と環境条件を繋げることで、カラスによる生活環境被害に対応していくことが今後の課題となってくると考えられる。

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