卒業論文アーカイブ

直売所を核とした果樹作経営の新たな展開―産直あぐりに集う果樹経営農家を事例として―

  • 年度
  • 平成25年度
  • 氏名
  • 石川 紗己子
  • 指導教員
  • 保木本
  • キーワード
  • 農業経営
  • 概要
  • 山形県庄内地域は日本有数の米どころである。しかし、旧櫛引町地区では1970年に開始された米の生産調整政策によって、米に代わるものとして地域全体で果樹の栽培が盛んに行われてきた。その後、旧櫛引町では、町の特色を活かしたフルーツタウン構想を掲げ、その拠点として直売施設の整備を進め、平成9年9月に「産直あぐり」がオープンした。本研究では、山形県鶴岡市旧櫛引町地区において、「産直あぐり」という地域直売施設を核とすることで、地域の果樹作経営がなぜ新たな展開を見せたのか、それはどのような展開を経たのか、それらを個別経営農家への詳細な聞き取りとアンケート調査という方法を通じて、具体的に明らかにしていくことを目的とした。調査の結果、「産直あぐり」開設前は市場やJAに出荷していた人が多いことが分かった。当時は、果樹産地としては規模が小さかったため、生産量は限られており、現在とは比べ物にならないくらい値段も低かった。しかし、「産直あぐり」に出荷するようになると、消費者のニーズも直に感じられるようになり、生産者同士の交流も増えて互いに切磋琢磨するようになった。また、値段も自分で設定できるようになったため、品質の向上にも力を入れるようになったという結果が得られた。「産直あぐり」は直売所として全国的にも高い評価を受けている。その要因としては果樹を柱としているということ、経営陣の意識の高さが挙げられると考える。「産直あぐり」は、広域流通の整備とともに低迷していった地場消費型の生産地の再生の有効な一例であると考える。

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