卒業論文アーカイブ

環境農業政策下におけるエコファーマーの環境貢献度の定量化およびその分類化に関する研究―鶴岡市の事例を基に―

  • 年度
  • 平成24年度
  • 氏名
  • 中島 拓夢
  • 指導教員
  • 家串
  • キーワード
  • 環境問題
  • 概要
  • 1990年代、化学肥料や化学合成農薬の多投入による土壌汚染、水質汚濁などが深刻な社会問題となったことを背景として、1999年にエコファーマー認定制度は始まった。現在、全国で約21万件の農業者がエコファーマーに認定されており、その認定件数は飽和状態になりつつある。さらに、エコファーマー認定は持続性の高い農業生産方式を導入する計画を提出した段階で認定がされるため、各農業者がどの程度環境に効果を挙げているのかは把握されていない。本論文は、現行のエコファーマー制度を認定者の環境保全効果を判別できるものへ改良する一方策を示すことを目的とし、環境貢献度という独自の指標を用いてエコファーマーの環境保全効果のばらつき度合いの定量化およびそれに応じた分類化を行った。まず、環境貢献度を測るため、鶴岡市において水稲によりエコファーマー認定を受けている農業者14名に対してたい肥、化学肥料、農薬の使用状況などの聞き取り調査を実施した。調査結果を基にたい肥による土づくり、化学肥料低減、農薬低減の3点について評価指標を用いて環境貢献度を算出した。その結果、たい肥による土づくりの効果および化学肥料低減効果には農業者間で一定程度のばらつきが確認されたものの、農薬低減効果は大きなばらつきは確認されなかった。また、各農業者の環境貢献度をレーダーグラフにより可視化し、それに基づく分類化を行った。これにより、今後環境貢献度の大きさによるエコファーマーへの補助の重みづけをすることも可能となる。環境貢献度を用いることで、エコファーマーの環境保全効果の定量化、可視化および分類化ができ、現行の制度を認定者の環境保全効果が見えるものへ改変することが可能となると考えられる。

論文アーカイブ検索に戻る