特別豪雪地帯におけるハンディの変化―新庄市の決算と雪害救済運動をもとに―
- 年度
- 平成26年度
- 氏名
- 澤田 智明
- 指導教員
- 家串
- キーワード
- 地域政策
- 概要
- 我が国は世界でも有数の豪雪国であり、雪国の自治体は毎冬様々な雪による被害を軽減・防止するために多額の雪害対策費を支出している。豪雪地帯は、一般の積雪の少ない地域に比べハンディを背負っているといえるのである。本研究で用いるハンディとは、他地域に比べ雪害対策費等の経済的負担を指す。雪害には、一度に多量の降雪があることによる被害の他に、恒常的に降雪があることによる被害もある。また、文明の発達とともに形を変えて新たな被害を及ぼすといった特徴もあり、雪害は非常に対策しづらい特異的な災害である。大正15年、山形県村山市出身の代議士松岡俊三を中心に雪害救済運動が展開された。近年では様々な法律、政令が制定され雪国の生活水準は向上したとみられているが、未だに雪害問題は深刻である。そこで本研究では雪害救済運動発祥の地でもある特別豪雪地帯、山形県新庄市を対象事例に雪害救済運動の成果と雪国の抱えるハンディの現状について明らかにすることを試みる。その方法として新庄市の決算データをもとに分析し、経済の観点から特別豪雪地帯の抱えるハンディの変化と課題を捉える。 雪害救済運動の成果により特別豪雪地帯には雪害対策の補助金が支給されるようになり、様々な雪害対策活動を展開できるようになったが、それを上回る割合で雪害対策費は年々増加傾向にある。降雪量の多寡により変動する雪害対策費であるが毎年必ず支出される固定費であると考えられ、現在も特別豪雪地帯が抱えるハンディは解消されていないと考えられる。対して新庄市の財政は弱体化傾向にあるため、今後の課題としてますます財政を圧迫する雪害への対応が必要であると予想される。