卒業論文アーカイブ

東日本大震災の被災地域における新規移住者の移住要件―宮城県塩竃市浦戸諸島桂島を事例に―

  • 年度
  • 平成27年度
  • 氏名
  • 近藤 瞳
  • 指導教員
  • 小沢
  • キーワード
  • 地域活性化
  • 概要
  • 2011年3月11日に発生した東日本大震災を含む東北地方太平洋沖地震 は、岩手県、宮城県、福島県の3県を中心に大きな被害をもたらした。本論文の調査対象地域である宮城県塩竈市浦戸諸島桂島もその被害を受けた地域である。永野(2014)は「過疎化と高齢化が進んだ離島漁村が、東日本大震災後、その傾向に一層拍車をかけ、5年後、10年後、20年後に起こると考えられていた事態を、前倒しして「いま・現在」に現出させている」と述べている。この5年後、10年後、20年後に起こるとされていた事態は、離島漁村の“過疎化”と“高齢化”である。そこで本論文ではその課題に対し、“新規移住者の移住”という観点で解決する事が出来るのかを検討する。まず調査Ⅰとして、調査対象地域で行った定住に関するワークショップの意見をもとにSWOT分析を行った。その分析結果を小田切(2014)が述べる移住三大課題の①仕事(雇用)、②住宅、③コミュニティに分け考察した。その結果から①仕事に対してはⅠ新しい雇用の創出、Ⅱ既存の資源を利用した雇用の創出、Ⅲ外部要因の利用、Ⅳ既存の雇用環境、②住宅に対してはⅠ住宅活用、Ⅱ土地利用規制に関する緩和、③コミュ二ティに対してはⅠ既存のコミュニティの活用、Ⅱ外部とのコミュニティの創出が課題への対応策として有効であるという事がわかった。また二つ目の調査として、調査対象地域への移住を仮定し、移住要件を明らかにした。その結果、移住三大課題が見られると共に、課題の中で一番重要視されていたのはコミュニティの問題という事がわかった。以上の結果、移住三大課題を移住政策や地域の体制づくりにいかに反映させていくかが、今後の移住者を増加させるための課題として考えられる。

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