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情報化の実態と農家における農業情報の活用―JAあまるめを事例として―(修士論文)

  • 年度
  • 平成26年度
  • 氏名
  • 侯 瑩
  • 指導教員
  • 小沢
  • キーワード
  • 農業協同組合
  • 概要
  • 農業における情報化は多くの場面において必要であり、それぞれの場面の改善のために力を発揮する。農業の情報化により農業・農村を復活させることが期待されている。しかし、先進的な農業情報技術と実際の農業現場には大きな隔たりがある。農業発展のためにはこの隔たりを縮小しなければならない。先進的な農業情報技術を農業・農村で活用するために、農業現場で働く農家の情報活用水準を迅速に高める必要があると考えられる。そこで、本研究では、農業における情報化の現状を調査し、農家が情報をどのように活用しているかを明らかにすることを目的とする。まずは、山形県の農業情報化の現状を把握するために、山形県庁、JA 山形中央会、JA あまるめを対象にヒアリング調査を行った。さらに、JA あまるめの正組合員を対象としたアンケート調査を実施し、農業情報の活用実態の分析を行った。情報発信については、山形県庁の農業情報発信の中心として取り組んでいる「やまがたアグリネット」には大量の情報が掲載されており、そちらの情報は市町村、農協から農業者まですべての人が利用可能であり、インターネット利用者にとっては利用しやすいが、農業者の会員は2013 年までにわずか3,122 人にとどまっているという状況である。「やまがたアグリネット」を利用するにはインターネットを利用できることが条件であり、これが農業者にとって厳しい条件となっていると考えられる。一方で、農協は「紙媒体」「対面」「行事」など多様な手段で組合員の情報を発信しており、農業者の活用度が高い「やまがたアグリネット」は、利用率がまだ低いものの、利用者からは「役に立つ」情報と認められている。農協と比べて、誰でも利用できるというメリットがあるが、インターネットを利用できない人には利用できないというデメリットもある。農協の情報発信では生産情報の重要性が高く、組合員を対象にしているため、情報の適切性、実用性を高める必要がある。現状で農協が農業情報を「紙媒体」で提供していることは、最も効果的な方法と評価できる。それに、アンケートの結果により、各個人要因(農業類型、販売形態、経営形態、経営耕地面積、農業収入)によって、農業情報化意識に対する影響があることを明らかにした。考察した21 の情報項目すべてで「重要」かつ「役に立つ」と評価されており、情報化実態に対して、高い評価とは言える。さらに、相関分析により、情報重要度と情報活用度に正の相関があり、現状はよい情報化実態にあるといえる。しかし、情報を利用していない人の重要度と情報を利用している人の重要度が異なることもあることから、情報提供側はよりいっそうの注意が必要であるといえよう。

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