卒業論文アーカイブ

庄内地域における食品残さ飼料利用可能量に関する考察

  • 年度
  • 平成24年度
  • 氏名
  • 中西 達也
  • 指導教員
  • 藤科
  • キーワード
  • リサイクル
  • 概要
  • 近年の日本は、国内外における自然災害や経済情勢の動向から、飼料供給の新たな体制作りが求められている。一方、食品産業では余剰食品や製造過程における廃棄物が大量に発生し、食品残さとして廃棄されている。これら食品残さを飼料として利用すると、飼料自給率向上や残さ焼却処分量の削減による環境負荷の低減が可能となる。本調査は庄内地域を対象とし食品残さ量、それを原料とした飼料製造可能量、肥育豚の飼養に必要な飼料量を推計する。また、食品残さ飼料による肥育豚の飼養可能数を推計することで、庄内地域で食品残さ飼料利用可能量を明らかにする。さらに、乾燥飼料または、リキッドフィードとして飼料化し利用する場合についてそれぞれ推計する。この際、必要な数値は飼料製造企業に対する聞き取り調査や統計年鑑などから引用した。調査の結果、庄内地域における肥育豚の総数のうち、乾燥飼料、リキッドフィードにより飼養できる割合は、それぞれ約10%であった。庄内地域から発生する残さを乾燥飼料化した場合は4275t、リキッドフィード化した場合は28517tとなった。しかし、乾燥飼料よりもリキッドフィードの方が飼料の一頭当たりの給餌量が増えるため、飼養可能頭数は同程度となった。これらのことから、発生した食品残さの総量を飼料化した場合はそのすべてを給餌することが可能であることが分かったが、一方で出荷できる頭数や肉の量にはほとんど差が無く、それぞれの飼料の特徴を踏まえた利用が必要となる。環境負荷や畜産農家における飼料費の低減などの利点を踏まえるとリキッドフィードを利用するべきかと考えられるが、これについて言及するためには庄内の畜産農家の規模や飼料の輸送費用、庄内地域の食品産業における残さの種別などをより詳細に調査する必要がある。

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