卒業論文アーカイブ

山形県内ワイナリーの原料調達方法と原料生産農家の関係

  • 年度
  • 平成27年度
  • 氏名
  • 池田 紀子
  • 指導教員
  • 小沢
  • キーワード
  • 食品産業
  • 概要
  • ぶどう農家数は著しい減少傾向にある。しかし、ワイナリーは地域のぶどうでワインを製造したい考えがあるため今後の原料調達に不安を抱えている。農家とワイナリーの間では栽培契約を結び原料のやり取りを行う原料調達の方法が普及している。しかし、浅井(1993)が指摘するように、醸造用ぶどうの調達には「日本という風土では、ヨーロッパの銘醸地を形成したブドウ品種を栽培することは不可能だという思いこみ」や「醸造用にブドウを栽培するという発想が、ブドウ農家の経営に受け入れ難い」といった課題が存在する。本研究では、醸造用ぶどうの生産を増加させるために必要な条件を探る。調査方法は山形県内にあるA,B,CワイナリーとCワイナリーの原料生産農家にヒヤリングを行う。ヒヤリングの調査結果から、山形県内のぶどう農家数が減少する中、Cワイナリーでは年々契約農家数が増加している。農家は労働時間の削減を目的とし醸造用ぶどう栽培を開始している。ぶどうの品種ごとの収穫時期と10a当たりの収量によって価格が決定される。Cワイナリーの契約ではぶどう価格を糖度基準で行い、それが農家の栽培意欲の向上につながっている。ぶどう栽培では包装荷造・運搬等料金が経営費の中で、最も大きな割合で全体の22%を占めている。しかし醸造用のぶどうではその費用がほぼゼロで済む。また山形県のCワイナリーが存在する市町村では施設栽培が普及しており、その費用をワイナリーが一部補助している。浅井(1993)で指摘された課題を、Cワイナリーは土地に適した栽培方法の補助でヨーロッパのぶどう品種の栽培を可能にし、経営費を削減することで契約農家数を増加させた。しかし、多くのワイナリーは農家の高齢化による契約農家数の減少が課題として挙げられる。

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