卒業論文アーカイブ

安定兼業がもたらした地域農業への影響―TDK傘下のにかほ地域を事例に―

  • 年度
  • 平成25年度
  • 氏名
  • 佐々木 翔
  • 指導教員
  • 保木本
  • キーワード
  • 農業経営
  • 概要
  • 兼業農家は日本の農業構造の中で、圧倒的多数を占め議論の対象となってきた。農地の流動化の障害や稲作単一経営による経営の是弱性等で地域社会の在り方に様々な影響を与えてきた。そこで本研究では兼業問題の中でも第二種兼業農家、安定兼業に注目し、地域農業への影響を調べることにした。予備調査として統計資料および関係資料の整理と、市役所農政課および農協への聞き取り調査を行った。本調査では秋田県にかほ市M地区の主要生産者8名に対象をしぼり、聞き取り調査を行い、生産者の農業へ対する考えの変化、次の世代へ農業をどうしてほしいか、そういった思いなどを見ていき、今後の地域農業の展望について考察した。調査の結果、8人中6人がTDK関連に直接、間接的に関わっていることが分かった。TDKがあったことでこの地域に住む人たちの生活はよくなった。一方、農業の面で見てみると農業は衰退した。農業をやる意欲の低下、複合化や組織的農業、基盤整備事業、後継者問題などあらゆる面で他地域より遅れをとる形となった。安定兼業が何をもたらしたか、それはにかほ地域のように農業で生計を立てていくかといっても、その土台もすでに壊れてしまっており、企業撤退とともに地域に何もないというような状況になるのである。これからの展望として、今回調査を行ったM地区に関しては行政がリーダーシップを発揮して引っ張っていかないと農地が荒れていくのは目に見えている。この地区を支えている人の多くは60代以上の世代となっており、リタイアする前に早急に手を打ち次の担い手作りをしなければならないだろう。

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