卒業論文アーカイブ

地方老舗菓子店の競争戦略―つるおか菓子処木村屋を事例として

  • 年度
  • 平成26年度
  • 氏名
  • 新妻 綾乃
  • 指導教員
  • 小沢
  • キーワード
  • 食品産業
  • 概要
  • 日本は経済不況の影響が地方ほど深刻であり、中央と地方の格差が拡大している。地域企業には業績に経済不況の影響が及んでいると考えられる。しかし、そのような中で業績を伸ばし続ける地域企業も存在する。鶴岡市には、1887年に創業し、現在18店舗を展開する老舗菓子店「つるおか菓子処木村屋」がある。本研究では、地方老舗菓子店の競争戦略の解明という視点から木村屋の成長要因を考察する。競争戦略は、木村屋社長と各店舗店長への聞き取り調査の内容をポーターの「競争の戦略」と楠木建の「ストーリーとしての競争戦略」の概念を基に分析した。調査の結果、木村屋は、地域住民が自分用の菓子の購入に利用する「まちの菓子店」と、観光客が土産用菓子の購入に利用する「地域の土産屋」の2つの機能を両立させた「地域を代表する菓子店」であった。その根本には「多店舗展開」と「自社生産主義」という2つの核となる特徴がある。店舗は販売活動を行いつつ、店自体がプロモーションの役割を持ち、地域住民や観光客に木村屋の認識を促す働きをしている。自社生産によって木村屋は、他の菓子店にはない技術や知識、情報を菓子に詰め、商品に付加価値を持たせ、競争優位を獲得している。ファクトリーストア新設によって木村屋は、この2つの特徴をつなげ、木村屋の戦略をより強く、太くし、基盤を固めている。以上より、木村屋の戦略は、「地域を代表する菓子店として多機能を保持し、その機能を高め続けること。また木村屋独自の価値を探り、その価値を提供し続けること」である。木村屋には創業から積み重ねてきた価値がある。しかし、その価値に満足せず、常に進み続けることが重要であり、それには他店とは異なる価値での挑戦が必要である。したがって地方老舗菓子店の競争戦略は、「競合相手と異なる機能を持ち、それを高め続けること。また、地方老舗菓子店独自の価値を提供し続けること」である。

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