卒業論文アーカイブ

与えられる〈立場〉とつかみ取る〈立場〉女性農業者の自己実現の経緯と女性ネットワーク組織の役割―きらきらネットワーク倶楽部の事例を中心として―

  • 年度
  • 平成24年度
  • 氏名
  • 久保杉 朱夏
  • 指導教員
  • 保木本
  • キーワード
  • 農村女性起業
  • 概要
  • 農業者の約半数は女性であるにも関わらず、ジェンダーにしばられ女性はなかなか「家」から「外」へ活躍の場を広げることは難しかった。しかし近年では女性のネットワーク活動が注目されるようになり、積極的に「外」で活動する女性たちがみられるようになってきた。そこで本研究では、山形県酒田市で女性ネットワーク活動を行っているきらきらネットワーク倶楽部の女性9名に聞き取り調査を行い、「外」へと出て積極的に活動できるようになる分岐点は何か、ネットワーク活動がもたらすものとは何かなどを、与えられる〈立場〉とつかみ取る〈立場〉という視点から分析を行った。きらきらネットワーク倶楽部は、自分たちの農業や暮らしを豊かにしていくことを目的に組織され活動を行っている組織であり、現在では女性農業委員なども出している。調査の結果、初めは受動的(与えられる〈立場〉)に家の農業や家事をこなしていた彼女たちであるが、地域を越えて女性たちが交流する場を経験したことを機にお互い刺激を受け、それまでの自分を見つめなおし、能動的(つかみ取る〈立場〉)な行動へと変化したことがわかった。それまで彼女たちは「地域では真剣な話がしたくてもできない」などの思いを抱えていた。そうした思いを持った彼女たちが地域を越えて出会ったことで、ネットワーク活動へと活動の場を広げた。そして、地域とは違いネットワーク組織は共通した思いや目標をもつもので、その思いを達成しようと互いを高めあうことができる、組織という看板や仲間がいることで直売など活動がしやすくなりそこで自らの頑張りが直接感じられやる気につながる、活動をもとに女性たちが成長し自信をつければ農業委員などに女性が進出していく土台となる、などの意義をネットワーク組織はもっていることがわかった。

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