卒業論文アーカイブ

デフレ慢性化の時代における高級ブランド米の現状と課題―「つや姫」を事例として―

  • 年度
  • 平成25年度
  • 氏名
  • 樺澤 彩音
  • 指導教員
  • 保木本
  • キーワード
  • 地域ブランド
  • 概要
  • 消費者の米離れが進み、1人あたりの米の年間消費量は、昭和37年度の130.4㎏をピークに、平成24年度には56.3㎏と半分以上減少している。しかし一方で、消費者意識の高まりから安全で安心な米の需要は拡大している。今後、米の主産地として勝ち残るためには、良質・良食味米の生産を行い、消費者のニーズを把握して対応することが重要であると考えられる。そこで本研究では、山形県が「コシヒカリ」に匹敵する評価獲得を目指し、2010年10月にデビューした高品質・良食味米「つや姫」を事例とし、「つや姫」がどのようにブランド米として展開してきたのか、デビューからの現状やブランド戦略を把握し、デフレ慢性化の時代における高級ブランド米の今後の課題を明らかにする。調査方法としては、「つや姫」関係資料の分析と、県をはじめとする「つや姫」関係者への詳細な聞き取り調査である。調査の結果、「つや姫」が全国的なブランド米として展開するためのブランド戦略の中で、特に生産段階における徹底した品質管理などを定めた「生産戦略」が特徴的であるとわかった。具体的には、栽培適地マップで定める最適地及び適地での栽培に限定し、特別栽培及び特別栽培と同等の栽培方法で行うこと。出荷基準は、全国最高水準にあたる玄米粗タンパク質含有率6.4%以下とすること。生産者に関しては、認定要件をクリアする生産者のみが栽培できる生産者認定制度をとっていること。このような生産戦略の結果、「コシヒカリ」にも引けを取らない高品質・高価格ポジションを維持しており、現時点では生産戦略を含むブランド戦略が功をなしていると言える。しかし今後、生産の拡大を図る上で、現在の品質や価格ポジションを維持することや、新たな流通チャネルを確保することなど課題も残されており、今後予想される米市場の激変の中で、高級ブランド米に位置する「つや姫」の高いブランド力の真価が問われるといえる。

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