卒業論文アーカイブ

ゆるキャラが過疎地域の町おこしに与える影響―朝日町桃色ウサヒを事例として―

  • 年度
  • 平成27年度
  • 氏名
  • 佐野 弘幸
  • 指導教員
  • 家串
  • キーワード
  • 地域活性化
  • 概要
  • 現在の日本の地方では、少子化と都市への人口の流出により人口減少が進んでいる。人口の流出を防ぐために、全国各地で様々な地域資源を利用した町おこしが行われている。その中の一つにゆるキャラがある。全国のゆるキャラの人気ナンバーワンを決定するゆるキャラグランプリは2010年に始まり、エントリー数及び投票数は年々増えている。しかし、2015年のエントリー数は1727体となり、希少性は失われている。希少性が失われることにより、地域外へのPR効果や経済効果などは出にくくなっていると考えられる。そのために一度も脚光を浴びることなく姿を消すゆるキャラも存在する。その一方で地域内の住民を強く意識した戦略をとることで活発に活動を続けているゆるキャラも存在する。本研究では特殊事例として山形県朝日町の桃色ウサヒを取り上げ、過疎地域である同町の住民の町おこしに対する意識や行動にどのような変化をもたらしたのかについて住民へのアンケート調査と、ウサヒグッズ企画者への聞き取り調査から明らかにすることを試みた。朝日町の桃色ウサヒは多くのゆるキャラが地域の特産品や有名人などに由来する姿をしているにもかかわらず、朝日町には何の関りもないピンクのウサギの姿をしていることや、中の人を公開していることなど他のゆるキャラとは違う点が多くある。聞き取り調査では、ウサヒグッズの企画は、売り上げの向上、仕事の変化、ウサヒを積極的に使おうとする思考の変化などをもたらすことが分かった。2014年4月から始まった朝日町ブランディングプロジェクトは若い人が中心となっているのに比べ、桃色ウサヒは老若男女問わず人気があり、ウサヒ関係の活動に肯定的な町民が多いため、ウサヒを絡めた活動は周囲の理解を得やすい。そのためウサヒによって朝日町のために行動しやすくなっているといえる。

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